病院の治療法
【ヘルニア型坐骨神経痛の治療】
まずは保存療法から
腰椎椎間板ヘルニアがみられても、激しい痛みや歩行困難、排尿障害などがみられなければ保存療法が行われます。手術をいきなり行うことはありません。保存療法には次のようなものがあります。
| 方法 | 内容 |
| 安静 | 自然治癒力によって回復させることを目指します。激しい運動、前屈、中腰、長時間の座位などを避けるようにして、ゆったりと生活するようにします。腰椎椎間板ヘルニアの8割程度が自然に治癒するといわれています。 |
| 薬による治療 | 消炎鎮痛薬、筋弛緩薬、抹消循環改善薬などで痛みをやわらげます。また、症状によって精神安定薬やビタミンB12などが投与されます。ビタミンB12は神経の働きを安定させる働きがあります。 |
| 理学療法 | 熱や電気などの物理的な刺激を用いて衰えた体力や病気によって損なわれた機能を回復させるために行います。理学療法には、温熱療法、電気療法、赤外線療法、高周波療法、超音波療法、マッサージ療法、運動療法などがあります。 |
神経ブロック療法
神経ブロック療法は、神経やその周囲に麻酔薬を注射し、脳に送られる痛みの信号を遮断する治療法です。運動神経もリラックスするので、筋肉の緊張もとることができます。
この治療法は、痛みの原因を取り除くことはできませんが、患者を痛みや不快感から解放することで、自然治癒力を生かして病状を改善させることができます。症状によっては、麻酔薬とともに炎症を抑えるステロイド薬が注射されます。坐骨神経痛の治療で行われる神経ブロックには次のものがあります。
| 種類 | 内容 |
| 硬膜外ブロック | 硬膜といわれる脳から伸びている脊髄の周囲を囲む3つの膜のいちばん外側にある膜と、その外側にある黄色靭帯の間に麻酔薬やステロイド薬などを注射する方法です。これにより、痛みや筋肉の緊張、神経の炎症を抑えるなどの効果があります。 ただ、この方法は薬にアレルギーのある人、血液が凝固しにくい人、排尿障害のある人、糖尿病などで細菌に感染しやすい人などには行われません。 |
| 神経根ブロック | 坐骨神経痛の痛みを伝達している神経根に直接麻酔薬などを注射します。腰部脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアが原因となっている坐骨神経痛にもっとも効果があるといわれています。 |
手術
保存療法で効果がみられないときには、手術が行われることがあります。手術の方法には以下のようなものがあります。
| 種類 | 内容 |
| ラブ法(椎間板切除術) | 背中側から腰椎の骨を削って小さな窓を開け、脱出した椎間板のヘルニアを摘出します。 |
| 経皮的髄核摘出術 | X線撮影で患部を観察しながら背中から管をさし、その管をたよって特殊な器具を用いて突出している髄核を摘出したり、吸引したりする手術です。 |
| 経皮的レーザー椎間板減圧術 | レーザーファイバーを挿入し、髄核にレーザー光線をあてて蒸散させる手術です。 |
| 内視鏡下ヘルニア切除術 | 内視鏡を使って椎間板ヘルニアの髄核を摘出する方法です。患者の負担が軽い手術です。 |
| 椎体固定術 | ヘルニアを摘出したために、椎間板内の圧力が低下しすぎたり、椎間板の機能が失われた場合、あるいは脊椎分離症や脊椎すべり症などを発症して脊椎が不安定になっているときに、その部位に骨を移植したり、金属を使って脊椎を固定する方法です。 |
| 日赤式脊椎制動術 | ヘルニアの手術によって脊椎が不安定になったときに細いチタン製のロッドとポリエチレン樹脂のひもを使って脊椎の動きを制動する方法です。 |
| 顕微鏡下ヘルニア切除術 | 顕微鏡を使って椎間板ヘルニアの髄核を摘出する方法です。 |
術後の後遺症
腰椎椎間板ヘルニアの手術による後遺症は、医学の進歩によりほとんどみられないといわれています。しかし、100人に1人か2人の割合で神経障害を起こすこともあるようです。かなり低い数値ですので、まず心配することはないでしょう。後遺症があった場合は速やかに医師に相談して適切な治療をうけるようにしましょう。
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